BBFG紹介

BBFGって何?

Bio-Balanced Facial Growth (BBFG)

『身体の要は腰。生体の上方にあって平衡バランスを司るのは、上部構造体としての頭蓋。
その頭蓋にあって重要な運動器である下顎と舌、それを受ける上顎骨。
この要である上下顎の噛み合わせの意味を再確認し、幼児からのより良い成長を成し、大人にあってはその構造の平衡調和を再構築し、できるだけ健康な身体をめざす、実践してこその統合学問である。』

従来の歯列矯正技術をベースにFacial Orthotropics(R)自然成長誘導法とBBOという共に30年以上の歴史を持つ治療哲学を融合させる形で発展してきたものがBBFG(R)という顎矯正哲学で、その各々は歯科の既存の研究を横断的に新たな視点から再検討再評価した結果です。
成長発育、歯列矯正、生体バランス、咬合学、解剖学、病態論等の学問に基づいています。

矯正治療そのものは物理的治療の最たる方法といえます。ずれて不自然な噛み合わせやゆがんだ歯並びは、病的な種々の影響を全身にもたらします。それは身体に無理を強いて、それ自身大変なエネルギーを消費してしまいます。
疲れやすい、集中力が無い、落ち着きがないなど力の無さを感じるようであれば、噛み合わせや歯並びの不調を疑って診てみる必要はあります。今、矯正治療で原因療法に一番近いと言われているOrthotropics(R)自然成長誘導法とBBO療法の融合は必然でした。
身体が本来持っている能力を最大限に引き出せるようになるのが理想です。カラダのバランスと噛み合わせのバランスをともに整えるBBFG顎矯正治療で、その理想をめざします。子どもの時期からの早期の顎矯正治療で、審美的、機能的な調和を獲得しましょう。

清水歯科医院顎咬合研究所では局所の医療としての歯科と、日常生活における養生、健康法等を組み合わせ、一人の人間としてより良く生きるお手伝いをさせていただいております。 また、この治療法を学び実践しようと志をお持ちの歯科医師のために、「清流塾」という研修の場を用意しております。詳しくは問い合わせ下さい。

Bio-Balanced Facial Growth concept

BBFG はじめに

歯列矯正の分野では、今、種々のブラケットが開発され、テクニックの講習が華やかである。一般に矯正治療というと歯牙歯列の不正を思い浮かべるようであるが、実際には呼吸の不都合とともに生じる、身体と上下顎の不正成長が原因で、多くの不正咬合が発生している。この身体も含めた不正成長の問題を解決しなければ、矯正治療の成功は望めず、保定装置を装着し続けることとなる。

いくら歯をきれいに並べても原因が治療除去されなければ、その歯はいずれまた動いて、ガタガタになってくるものである。このことを理解せず方法論に走ることは大変危険である。まず、このことを十分に理解していただきたい。

筆者は当初、小児の咬合誘導と補綴前処置として限局矯正を行っていたが、その後、より確かなものへとマルチブラケットによる本格矯正を学んだ。
しかし、歯牙の移動と顎の動態に何かしっくりしないものを感じ、成長発育と咬合機能や舌の有り様を、できるだけ調和させる装置方法はないかと、思案していたところに出会ったのがFacial Orthotropicsであった。

Dr. John Mewにより創始されたFacial Orthotropics(=Natural Growth Guidance)はすでに30年以上の歴史があり、不正成長を考慮に入れた治療法としては、原因療法に一番近い方法といわれている。この中で、顎顔面のよりよい発育と、きれいで安定した噛み合わせをつくるために必要な条件として、Dr. Mewは次の三つ(成長の前提条件:Tropic premises)を表している。それは安静時に

A.口唇が緊張せず、常に軽く閉じていること。
B.舌は口蓋に接していること。
C.上下の歯は接近し、あるいは軽く接触するくらいの状態にあること。

というものである。

Aは鼻呼吸を楽にしていることを示し、口輪筋の機能が正しいことをいっている。また、表情筋のバランスも暗示的に表している。Bは舌が口蓋を内側から支えていて、同時に下顎が前上方に持ち上げられて頬の緊張がないことを示す。上下の顎が一つのユニットになっている状態を表しており、舌が口蓋に正しく付いていないとこれが崩れ、上下が別々の成長を始めてしまう。さらにCは顎の挙上筋に余計な緊張がなく、口唇や舌をはさむような癖もなく、バランスがよいことを示している。

口蓋に付いた舌が歯を内側から支えつつ、さらに鼻を通して息をするということから上顎の成長が促されるようになる。
逆にいつも口が開いている人は、舌が下がっているだけでなく顎も下に落ちるため、平坦で間延びした顔つきになり、姿勢の崩れと共に種々の不定愁訴を抱えるようになっていく。

この三条件は歯が安定して良く並んでいるだけでなく、姿勢を良く保つためのとても重要なポイントでもある。もし口がぽかんと開いていてAの条件さえ満足にできないようであれば、B/Cの条件はとても無理な話となってしまう。『口を閉めなさい』という躾はまさに的を射たものといえよう。

この治療法を生体のバランスを土台としてより日本人にあったものとして発展させ、生体の構造機能から力学的バランスを整えるように改良を行った。結果、頭蓋に対する顎骨のあり方をも考慮に入れた成長誘導の治療哲学といえるものとなってきた。本稿は、そこから導かれたBio-Balanced Facial Growthコンセプトの基本的な部分の紹介である。

Ⅰ 適応性としての成長コントロール

土台となる遺伝的成長と出生後の環境による変化とは微妙な関係にある。
顔面に限らず遺伝的支配というものは絶対ではなく、どのような適応メカニズムも極めてデリケートであり、持続的なやさしい力に対して敏感である。

日本人は単一民族との主張もあるが実際は4~5種の混血であり、主に南方系モンゴロイドと北方系モンゴロイドの特徴を持ち、人によりその現れ方が異なる。

現在ではミトコンドリアDNAの解析により、さらに細かいグループ分けが可能になっている。この特徴がさらに成長期において、癖や習慣など環境の影響を受け修飾されて種々の変化(歪み)を示すため、それぞれ個性的な顔立ちとなる。

1)顎骨の成長に影響する因子

食生活の変化は文明の発達と関連し、顎骨の大きさに影響する。さらに近年のインスタント食品に代表されるソフトフードの中には、咀嚼することを忘れさせ、発育に対し負に作用するものすら出ている。

口を閉じ噛むことにより、顎が刺激されるのと同時に唾液の分泌が起こり、この唾液を飲むことにより、舌が口蓋に押しつけられて歯列の拡大が起こる。(図)

さらに、咀嚼筋の発達が良好であれば、舌を挙上する吊性筋群の作用は強化される。裏返すと、咀嚼が弱く舌とともにその支持が働かないと、上顎骨は本来の成長を発揮するのが難しくなる。上顎骨の発育障害はそのまま中顔面の形成に影響するので、Cheek Lineの評価が大きな意味を持つ。Angle分類では見えてこない部分である。

鼻腔気道の狭小化は、生理学的、形態学的、さらに骨格的な一連の変化に複合して生じ、原因とも結果とも考えられる。  

a:大気汚染
b:アトピー
d:扁桃組織の肥厚
e:梨状口の狭小
f:口呼吸
g:頭位前方位(頭部後方回転)

2)筋機能の影響

不正咬合はしばしば軟組織の形態と機能の異常を伴う。形態と機能の関係は多くの専門家の認めるところであるが、どちらが初発因子であるかの共通認識はまだない。しかしながら、かたよった機能による成長の歪みは臨床上よく見られることである。もちろん、遺伝上のあるいは先天的な課題もあるが、それぞれに機能との関連が見られるものである。

筋肉の活動性とその時のポスチャーが重要な因子であることが、今ではわかっている。だが、安静状態の筋の活動性は、頭位や精神状態によりたやすく変化してしまうので、計測が難しい。臨床上の観察に基づく総合的な判断が必要な所以である。

口腔筋機能は単に舌運動に留まらず、口唇、口輪筋、頬筋、表情筋、顎位、頭位や体の姿勢保持、習慣性動作などが係わってくる。古くは遊びや躾の中で為されてきたことであるが、家庭での躾が期待できなくなってきた現状では、トレーニングとしての筋機能療法(Myo-Functional Therapy:MFT)も有効である。

MFTを行う際は、顎の拡大や誘導によりそのポスチャーを改善し舌のスペースを確保してから行うのがよい。これはやり方を覚えるだけでなく、日々の立ち居振る舞いに習慣とすることが求められるので根気が必要である。

近年、「噛まない」「飲み込めない」から「噛めない」子どもという表現がよくされるが、これら子どもたちに共通することは、日常的に口を開けて口呼吸することである。口呼吸が続くことで舌が落ち込み、挙上筋も弛緩し下顎が垂れ下がった状態になっている。この状態がいかに悪いかは既に述べたとおりである。『よく噛んで』という表現も耳にするが、食事で筋肉を使うのは長く見積もっても1日に1時間程度であろう。普段、口をポカンとさせて正しく使っていなければ、さあ食事となった時に筋肉はうまく働かない。残された多くの時間をいかによい状態に保つかが重要である。

いつも口を閉じ、歯を合わせるようにして挙上筋を使うようにする。これによって口輪筋が働き、さらにスポットを意識させると舌の挙上がしやすくなり、口蓋に付くようになる。嚥下等の動作は、筋の付着を通して下顎を前上方へと引き上げ保持することでもあり、気道の拡大につながる。一連の動作により、舌に口蓋を支持される上顎の成長が促され、歯列も内側から支えられるようになる。上下の歯は頬粘膜と口輪筋、舌によってバランスのとれた位置に保持されるようになる。

図5 舌ポジションと不正咬合

図6 口唇の舌の不良姿勢

歯を合わせるという動作について一言注意を促しておくと、従来、よく言われてきた『奥歯でしっかり噛みなさい』という指示は、あまり好ましくないと考えている。奧噛みをするために、下顎を後方へ引き込むことにつながり、下顎の前方成長を抑制、場合によっては過蓋咬合を誘発すると考えられる。さらに、舌のスポット保持がおろそかになりやすいからである。何より、図5-1や2Aであれば、口を閉じて前歯を合わせれば無理なく臼歯が当たってくる、そんなニュートラルな関係になるからである。

Ⅱ 上顎拡大

1)拡大の意義とそれによる動き

理想的な上顎歯列弓の形態は、歯と舌、口唇、頬の正しい接触圧によると考えられる。特に口唇と舌の接触の意義は大きく、低位舌や口呼吸による接触の不足は歯列弓の崩壊を引き起こす。(図5、6)

上顎にかかわる中顔面の突出度は縄文系(南方系)と弥生系(北方系)とでは多少異なるが、その顔面に於けるバランスでは共通するものがある。ほとんどの不正咬合を観察するに、この中顔面の明らかな発育不足を認める。
これは顔の奧に引き込んでいるか、過度に狭窄した上顎骨によって引き起こされる。旧来の上下の歯の関係に基づく上顎後方牽引では、上気道や顔面骨格にダメージを与えかねない。

中顔面のバランスが崩れ平坦でのっぺりとした頬であれば、この上顎基底部が狭く後退していることを疑うべきである(図7:省略)。
生理的に無理なく上顎を拡大するには、1週間に1mmという“セミラピッド”な拡大が、不快感なく歯の動揺も引き起こさずに正中口蓋縫合の離開を引き起こせる。1週間に3~4mmの“ラピッド”拡大では骨膜や縫合に無理な力を掛け、後戻りや口蓋軟組織の変形が少なくないため、非生理的と考えられる。
セミラピッドによる拡大は3ヶ月で10~12mmもの拡大を可能にする。この過程で図8-Aに示す頭蓋との骨縫合の関係から、上顎骨は前方に2mm前後押し出されるように出てくることとなり、上部気道が拡大され鼻呼吸がしやすくなる。
セミラピッドな拡大による骨基底部と歯槽部の変化を正確に見分けることは不可能であり、臨床的には以下の点を目安にするとよいだろう。

  • a:8歳までの拡大のおよそ2/3は縫合で、さらに1/3は歯槽部で起こる。 
  • b:8歳から思春期前1年までの縫合部では、1/2の拡大になる。
  • c:思春期以降年長者の拡大は歯の傾斜が多くなるので、縫合の拡大は1/3程度に減少する。

~~~~ 工事中 m(_ _)m ~~~~  (続く)

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